1.やけど(熱傷)のふかさは?
やけどは家庭内でとても起こりやすい事故のひとつです。それだけに民間療法に頼りがちですが、不適切な治療をすると症状を悪化させたり瘢痕が残ったりする可能性がありますので、 よほど軽い場合を除いて、すぐに受診して頂くことをお勧めします。やけどの深さは作用した温度と作用時間によって決まります。たとえばお湯のやけどでは温度はせいぜい100度ですが 作用時間は短いためそれほど深いやけどにいたりませんが、湯たんぽによるやけどでは温度は低いのですが長時間に温度が作用するため深いやけどになりやすいようです。
2.やけどの分類は?
一般にやけどの深さを表現するとき、1度から3度に分けて考えています。もっとも浅いやけど(1度熱傷)は赤くなるだけのもので単に冷却するだけで軽快します。 水疱やびらんを作るやけど(2度熱傷)は治療を必要とするもので、外用療法のみで2週間ほどで瘢痕を残さずに治る浅いタイプのものと、 外用療法のみでは治療に長期間を要し瘢痕を残しやすい深いタイプのものの二つに分けられます。しかし受傷直後はこの二つのタイプを鑑別することは困難です。治療経過をみながら判断していくことになります。 潰瘍や壊死に至るやけど(3度熱傷)は外用療法では瘢痕を残しやすく、長期の加療が必要なもので、植皮術などの外科治療が必要なものです。
3.やけどをしてしまったら?
やけどをしてしまった場合は、ジャガイモをすったものをはったりアロエの葉をあてたりといった民間療法をされてから受診される方がいらっしゃいますがあまりお勧めできません。 受傷部位にもよりますが、範囲が狭い場合は、あわてずにまず30分から1時間ほど水道水などを用いて冷却することが大切です。冷やすことは、やけどの進行をとめてくれるだけでなく、 痛みも軽減してくれます。その上で医療機関に連絡をとって、冷却しながら早期にを受診することをおすすめします。水ぶくれができていればできるだけ破らないように注意してください。 衣服を早く脱がそうとして水ぶくれを破いてしまいがちですが、水ぶくれの破れた部位からの細菌感染のリスクが出てくるだけでなく、びらん面は治癒を遅らせることになります。
4.注意しなければならない“やけど”は?
外陰部のやけどは排尿障害を起こす可能性があります。顔面のやけどは受傷面積がすくなくても気道(咽頭、喉頭、気管支といった空気の通り道)の熱傷の可能性があり、呼吸困難になる危険があります。 とくに密閉され環境で受傷したときは要注意です。水ぶくれをつくらず白く見えるやけどはあまり痛みを訴えませんが範囲がせまくても3度熱傷の可能性があります。痛みを訴えないやけどは要注意です。
5.やけどをおこさない注意は?
こどもさんのまわりには高温のものを、極力おかないように気をつけることがもっとも重要です。たとえば、水蒸気を発生する電気がま、電気アイロン、 火のついたたばこなど家庭内にはやけどの原因となるものがたくさ存在します。すべてのやけどの事例をお示しすることはできませんが、いくつかをご紹介しますと、 カップヌードルをたおして受傷する例が多くみられます。カップヌードルは意外と保温性があり、すわりのわるい容器を倒して受傷するようです。小さなこどもさんにはやけどをおこしそうな 高温の食事はあたえないようにることがたいせつです。味噌汁も作りたては食卓に並べないようにしてください。また最近は少なくなりましたが、少ない湯を貯めてお風呂を沸かす家庭があります。 少ない湯を高温にわかし入る直前に水をさして入浴するするようです。熱湯のようになったお風呂のふたの上で遊んでいた子供がバスタブのなかに落ち、全身熱傷になる悲惨な例を何例も経験しました。 化学繊維の衣服を着た子供さんやご老人が、たき火や花火の火が引火して、広範囲の3度熱傷になり死亡されるケースもあります。大人も子供も火遊びは危険なものです。